どうも、じょりじょりです。普段はラケットやガットのインプレを書いていますが、本業は薬剤師です。
春のテニスシーズンは、花粉症のシーズンでもあります。くしゃみと鼻水でボールに集中できない、薬を飲んだら眠くて体が重い、という経験がある人も多いと思います。大会に出る人なら、「この鼻炎薬、ドーピングに引っかからない?」という心配もありますよね。
今回は、薬局でよく受ける相談をもとに、テニスのパフォーマンスを落としにくい花粉症の薬の選び方と、大会前に避けたい成分を薬剤師の目線でまとめてみました。
結論:テニスをする人の花粉症薬はこう選ぶ
- 飲み薬は眠気が出にくい抗ヒスタミン薬を選ぶ。添付文書に「乗物又は機械類の運転操作をしないでください」と書かれていないものが目安
- 鼻づまり用の成分(プソイドエフェドリン、メチルエフェドリンなど)入りの鼻炎薬は、大会前・大会中は避ける
- 鼻の症状が強いなら点鼻薬、目のかゆみには点眼薬を組み合わせる。点鼻・点眼のステロイドは局所使用なので、ドーピングの面でも使いやすい
- 花粉が飛び始める前後から飲み始めると、シーズン中の症状を抑えやすい
- 迷ったら、大会に出ることを伝えて薬剤師に相談する
花粉症の薬がテニスに影響する2つのポイント
① 眠気・集中力の低下
花粉症の飲み薬の中心は「抗ヒスタミン薬」です。古いタイプ(第一世代)は脳に入りやすく、眠気やぼんやり感が出やすいのが特徴です。昔ながらの鼻炎薬や総合かぜ薬に入っていることが多い成分です。
テニスは、ボールの回転や相手の動きを一瞬で判断するスポーツです。眠気がなくても、「なんとなく反応が遅い」「集中が続かない」という形で影響が出ることがあります。
② ドーピング禁止物質
鼻づまりに効く成分の中には、競技会の時期に禁止される成分があります。日本学生陸上競技連合のアンチ・ドーピング資料(2025年版)では、エフェドリン、メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン、麻黄などを含む薬は、競技会前・競技会期間中に服用しないよう注意しています。市販のかぜ薬や鼻炎用の飲み薬の多くにこれらの成分が入っている、とも書かれています(知っておきたいアンチ・ドーピングの知識 2025年版)。
JOPなどの大会は検査の対象になり得ます。ドーピングの基本と、うっかり飲みやすい市販薬についてはテニスの大会前に飲んではいけない市販薬の記事で詳しく解説しています。
眠気が出にくい飲み薬の選び方
市販の花粉症の飲み薬を選ぶ時は、パッケージや添付文書の「してはいけないこと」を見てください。「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」と書かれている薬は、眠気が出る可能性があるという意味です。
たとえば、フェキソフェナジンを成分とする「アレグラFX」は、この運転操作の注意が書かれていません(アレグラFX 添付文書)。テニスのように判断の速さが大事なスポーツをする人には、こうした薬が使いやすいと思います。
| チェックすること | 見る場所 | テニスをする人の目安 |
|---|---|---|
| 眠気 | 添付文書「してはいけないこと」の運転操作の記載 | 記載がないものを優先 |
| 鼻づまり成分 | 成分表のプソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、エフェドリン、麻黄 | 大会前・大会中は避ける |
| ほかの薬との重なり | 「服用中は使用しないこと」の欄 | かぜ薬、乗り物酔い薬などと重ねない |
同じブランド名でも、成分が違う商品があります。資料でも、「アレグラ」は使えるが、プソイドエフェドリンを含む「ディレグラ」は禁止、という例が挙げられています。商品名ではなく、成分を確認することが大事です。
飲み始めるタイミング
花粉症の薬は、症状がひどくなってからより、花粉が飛び始める前後から飲み始めたほうが、シーズン中の症状を抑えやすいと言われています。大会の予定がある人は、試合直前に初めての薬を試すのではなく、練習の日に飲んで体の感覚を確かめておくと安心です。
点鼻薬・点眼薬を組み合わせる
鼻づまりやくしゃみが強い人は点鼻薬を、目のかゆみが強い人は点眼薬を組み合わせると、飲み薬を増やさずに済みます。
ステロイドの点鼻薬・点眼薬は、鼻や目への局所使用です。上の資料(2025年版)では、こうした局所使用は許可されており、TUE(治療使用特例)の申請も不要とされています。一方で、セレスタミンのようにステロイドを含む飲み薬は、競技会期間中は禁止です。医療機関で処方を受ける時は、大会に出ていることを必ず伝えてください。
※禁止表は毎年1月に更新されます。大会前は、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)などの最新情報で確認してください。
テニスならではの花粉対策
- サングラス:目に入る花粉を減らせる。まぶしさ対策にもなる
- 帽子・キャップ:髪に花粉がつくのを減らす
- 練習や試合のあとはすぐに着替える:ウェアについた花粉を家に持ち込まない
- ラケットバッグに予備のタオルとティッシュ:鼻水で集中が切れるのを防ぐ
- 花粉の多い日は屋内コートや時間帯を工夫する:飛散量は天気や時間で変わる
よくある質問
Q. 試合の日だけ飲めばいい?
飲み薬はその日の症状を抑えることもできますが、シーズン中は毎日続けたほうが安定しやすいです。試合の日だけ飲むなら、普段の練習で一度試して、眠気や体調の変化がないか確かめておきましょう。
Q. 漢方なら安全?
漢方だから安全とは限りません。鼻炎によく使われる小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷には麻黄が入っていて、競技会の時期は注意が必要です。
Q. 子どもの大会の場合は?
子どもは使える薬や量が大人と違います。15歳未満は使えない市販薬も多いので、小児科や薬剤師に相談してください。
まとめ
- 花粉症の飲み薬は、眠気が出にくい抗ヒスタミン薬を選ぶ。「運転操作をしないでください」の記載がないものが目安
- プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、エフェドリン、麻黄入りの鼻炎薬・かぜ薬・漢方は、大会前・大会中は避ける
- 商品名ではなく成分で確認する
- 点鼻・点眼の局所使用はドーピングの面でも使いやすい。ステロイドの飲み薬は競技会期間中は禁止
- 迷ったら、大会に出ることを伝えて薬剤師に相談する
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参考資料
※この記事は一般的な情報です。持病のある人、ほかの薬を飲んでいる人、妊娠・授乳中の人は、医師や薬剤師に相談してください。
それではここまで読んで頂きありがとうございました。
この記事を書いた人:じょりじょり
薬剤師。JOPに挑戦しながら、ラケットとガットを試打してレビューしています。


