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どうも、じょりじょりです。普段はラケットやガットのインプレを書いていますが、本業は薬剤師です。
テニスで多いケガの一つが、足首の捻挫です。切り返しで足をひねった、ボールを踏んだ、オムニの砂で滑った。「湿布を貼っておけば治る」と軽く考えがちですが、実は最初の対応しだいで「捻挫ぐせ」が残るかどうかが変わるケガでもあります。
今回は、薬剤師向けの専門誌「日経ドラッグインフォメーション(日経DI)」や、医師・薬剤師向けの医療情報サイト「日経メディカル」「m3.com」の記事、海外の診療ガイドラインを調べて、テニスの足首の捻挫の応急処置、病院に行く目安、湿布と痛み止めの使い方、復帰と再発予防までまとめました。
結論:テニスで足首を捻挫したら
- その場でプレーをやめる。テーピングして続けるのは悪化のもと
- 体重をかけない・圧迫する・足を心臓より高く上げる。冷やすなら冷却スプレーではなく氷のうで
- 4歩歩けない、くるぶしの後ろや足の外側の骨を押すと痛い時は、骨折の可能性があるので整形外科へ
- 1時間ほどで大きく腫れた、3日たっても痛みや腫れが引かない時は、靭帯が切れているかもしれないので受診を
- 湿布や痛み止めは、痛みを和らげるために短期間だけ。ケトプロフェンの湿布は屋外のテニスでは特に注意
- 痛みが引いても靭帯はまだ治りきっていない。リハビリと再発予防までがセット
足首の捻挫とは
足首の捻挫のほとんどは、足の裏が内側を向くようにひねる「内返し(内反)捻挫」です。このとき、外くるぶしの前にある前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)が一番傷みやすく、ひどくなると下の踵腓靭帯(しょうひじんたい)まで傷みます。
日経DIの患者指導の記事(2015年8月号、整形外科医の斉藤明義氏監修)では、足首の捻挫はスポーツのケガで最も多く、重症度を次の3段階に分けて紹介しています。
| 重症度 | 靭帯の状態 | 足首のゆるみ |
|---|---|---|
| I度(軽症) | 前距腓靭帯の一部が傷ついている | なし |
| II度(中等症) | 前距腓靭帯が切れている | 前方にゆるみが出る |
| III度(重症) | 前距腓靭帯と踵腓靭帯の両方が切れている | 前方と横方向にゆるみが出る |
同じ記事では、捻挫をした人の半分近くが湿布などの処置だけで済ませていたというデータも紹介されていました。きちんと治さないと、足首のゆるみが残って捻挫を何度もくり返す(捻挫ぐせ)原因になります。m3.comで紹介された北里大学の研究の記事でも、足首の捻挫は再発率が50%を超えるとされています。
テニスで起きやすい場面
- 左右に振られて、外側の足で急ブレーキをかけた時
- サーブやスマッシュの着地で、足の外側から着いた時
- 転がってきたボールを踏んだ時
- オムニコートの砂で足が流れた時、クレーで滑った時
- 疲れて足が上がらなくなってきた試合の終盤
その場でやる応急処置
日本で基本になっているのは「RICE」
日経DIの記事では、足首の捻挫の応急処置としてRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)をすすめています。具体的なやり方は次のとおりです。
- 安静:プレーをやめて座る。足に体重をかけない
- 冷却:氷のうで冷やす。冷やし始めは痛いが、20分ほどで痛みが消えるのでそこまで続ける
- 圧迫:包帯で巻いて腫れを抑える。サポーターより包帯がよい。ただし強く巻きすぎない
- 挙上:足を心臓より高く上げる
20〜30分たったら冷やすのをやめて、圧迫と挙上は1時間ほど続けます。これを1日2〜3回、3日間行うのが目安です。
記事では、冷却スプレーは皮膚の表面が一時的に冷えるだけで、十分な冷却にはならないとも書かれていました。テニスバッグにスプレーを入れている人は多いと思いますが、足首の捻挫には氷のうと氷が一番です。
日経メディカルの「応急処置の誤解」特集(2012年2月)でも、「湿布を貼って包帯で固定」は誤りとして、受傷から72時間は1〜2時間おきに10〜30分冷やして足を上げること、凍傷を防ぐために表面が少し溶けた氷や氷水を使うことが紹介されていました。
海外では「PEACE & LOVE」という考え方も
一方、海外のスポーツ医学では、RICEに代わる「PEACE & LOVE」という考え方も広がっています(British Journal of Sports Medicine、2019年)。ケガの直後は保護・挙上・圧迫を行い、その後は痛みの範囲で少しずつ動かしていく、という流れです。この考え方では、抗炎症薬(痛み止め)は組織の修復を邪魔する可能性があるとして、標準的な対応には入れていません。
RICEとPEACE & LOVEで共通しているのは、直後は無理に動かさない・圧迫する・足を上げるの3つです。冷やすことは、痛みや腫れを抑えるために最初の数日に行う、と考えておけばよいと思います。
| やること | ポイント |
|---|---|
| プレーをやめる | テーピングして続けると、靭帯の傷が広がることがある |
| 体重をかけない | 歩けても、できるだけ足をつかずに移動する |
| 冷やす | 氷のうで20分前後。冷却スプレーや冷たい湿布では代わりにならない |
| 圧迫する | 包帯で巻く。しびれたり、指先の色が悪くなったらすぐ緩める |
| 足を上げる | クッションなどで心臓より高くする |
捻挫?骨折?病院に行く目安
骨折を疑う「オタワ足関節ルール」
足首をひねったときに、レントゲンが必要かどうかを判断する目安として、救急や整形外科で使われているのが「オタワ足関節ルール」です。日経メディカルやm3.comでも、骨折を見逃さないための目安として紹介されていました。かみくだくと、次のどれかに当てはまったら骨折の可能性があります。
- 外くるぶしの後ろのふち(先端から6cmくらいまで)か先端を押すと痛い
- 内くるぶしの後ろのふち(先端から6cmくらいまで)か先端を押すと痛い
- 足の外側の真ん中あたりの出っ張った骨(小指の付け根から続く骨の根元)を押すと痛い
- 足の甲の内側の骨(舟状骨)を押すと痛い
- ケガの直後も、その後も、4歩続けて歩けない
m3.comの専門医の解説では、足を引きずっていても地面について体重をかけられていれば「歩ける」と考える、とされていました。逆に、4歩も歩けない時は無理せず受診してください。
靭帯が切れているかもしれないサイン
- ひねってから1時間ほどで大きく腫れてきた(日経メディカルの記事で、斉藤氏は靭帯が切れている可能性が高いと話している)
- RICEを3日続けても、痛みや腫れが引かない(日経DIでは、II度以上の可能性が高いので受診を、としている)
- 足首がぐらぐらする感じがある
靭帯が切れている場合、専門医が足首を少し反らせた角度で3週間ほど固定すると、手術に近い治療効果があるとも紹介されていました。早めに整形外科に行くほど、治し方の選択肢が増えるということです。
「ただの捻挫」が長引く時も要注意
捻挫の直後のレントゲンでは写らない骨折もあります。日経メディカルの記事では、数日〜1週間たってから骨折がわかることもあるので、明らかに軽い場合以外は足に体重をかけないように、という救急医の話が紹介されていました。
m3.comの整形外科医のコラムでも、レントゲンで骨折なしとされた50代男性の捻挫が、痛みが続いて3か月後のCTで距骨(足首の中の骨)の骨折と壊死が見つかった、という経験談が紹介されていました。痛みが長引く、痛む場所が変わる、時間がたってから痛みが強くなる時は、「捻挫だから」と思い込まずに再受診してください。
子どもの捻挫も注意が必要です。m3.comの記事では、子どもは骨より靭帯のほうが強いため、靭帯がついている骨がはがれる「剥離骨折」が起きやすく、レントゲンにも写りにくいと紹介されていました。ジュニアの子の捻挫は、軽く見ずに整形外科で診てもらいましょう。
薬剤師が解説:湿布と痛み止めの使い方
湿布は「痛み止め」。冷やす代わりにはならない
湿布を貼るとひんやりしますが、冷たく感じるのは皮膚の表面だけです。けがの直後の冷却は氷のうで行い、湿布は痛みを和らげる薬として使うと考えてください。冷湿布と温湿布の違いも、基本的には貼ったときの感じ方の違いです。
日経DIの「湿布の上手な貼り方」(2013年4月号)では、湿布の種類について次のように整理されていました。
| 種類 | 特徴 | 足首では |
|---|---|---|
| テープ剤 | 薄くて粘着力が強い。関節など動く場所や、長く貼りたい時に向く | はがれにくく使いやすい |
| パップ剤 | 厚くて水分が多い。冷却感があり、肌への刺激が少ない | はがれやすいので、切れ込みを入れて貼る |
貼る前は汗や水分をふき取り、傷や湿疹がある所には貼らないでください。
屋外のテニスでは「ケトプロフェン」の湿布に注意
テニスプレーヤーに特に知っておいてほしいのがこれです。同じ日経DIの記事では、湿布のなかでもケトプロフェン(医療用のモーラステープなど)は光線過敏症(日光が当たった所がかぶれる)を起こしやすく、はがした後も数か月は皮膚に残るため、時間がたってから発症することもあると注意しています。
足首は、テニスのソックスとシューズの間で日に当たりやすい場所です。病院でケトプロフェンの湿布をもらったら、使っている間と使い終わった後もしばらくは、貼った場所を日に当てないようにしてください。
市販の湿布を選ぶなら
市販の痛み止め入りの湿布なら、ロキソプロフェンやジクロフェナクのテープ剤が使いやすいです。どちらも15歳未満は使えないので、ジュニアの子には使わないでください。成分ごとの違いは【薬剤師が解説】テニス肘の湿布・塗り薬・サポーターの選び方で詳しく解説しています。
痛み止めは「必要な時に、短く」
痛み止め(NSAIDs)の使い方は、専門家の間でも考え方が分かれています。
- オランダの足首の捻挫のガイドライン(British Journal of Sports Medicine、2018年)では、NSAIDsは痛みや腫れを減らせる一方で、副作用や、体が治ろうとする働きを邪魔する可能性があるので、慎重に使うべきとしています
- m3.comの整形外科医の寄稿では、NSAIDsが骨折の治りを遅らせる可能性を示した論文をきっかけに、外傷の痛みには漢方薬を中心にして、NSAIDsは痛い時だけの頓服にしているという話が紹介されていました。同じ論文では、短期間の使用なら骨折の治りに大きな影響はないとされています
なので、痛くて眠れない、歩くのがつらいといった時に、用法・用量を守って短期間だけ使うのがおすすめです。「早く治したいから」と飲み続けるものではありません。胃や腎臓の病気がある人、ほかの薬を飲んでいる人は、購入時に薬剤師に相談してください。
ちなみに、整形外科では打撲や捻挫の腫れや痛みに、治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)などの漢方薬が処方されることもあります。m3.comの漢方の解説では、下痢をすることがあるとされていたので、処方されたら医師や薬剤師の説明をよく聞いてください。
大会に出ている人は、飲み薬の成分も念のため確認しておくと安心です。▶ 【薬剤師が解説】テニスの大会前に飲んではいけない市販薬
固定とサポーター
「捻挫したらしっかり固定」と思いがちですが、オランダのガイドラインでは、ギプスなどでの固定は短期間なら痛みや腫れを和らげるものの、靭帯が切れた捻挫でも、テーピングやサポーター(ブレース)で守りながら運動療法を行うほうが良いとされています。
ただし、靭帯が切れている場合に、どのくらい固定するかは医師の判断です。日経DIの記事でも、本格的にスポーツをしている人は、スポーツのケガに詳しい専門医を受診するメリットが大きいとしていました。自己判断でサポーターだけで済ませず、腫れがひどい時は一度整形外科で診てもらってください。
復帰の目安とリハビリ
早めに動かしたほうが回復が早い
日経メディカルで紹介されたBMJ誌の研究(2010年)では、軽い〜中くらいの捻挫(I度・II度)の人に、受傷後1週間、1日3回・約20分の足首の運動(座って足首を回す、曲げ伸ばし、ふくらはぎのストレッチなど)を行ってもらうと、冷却と圧迫だけの人より1〜2週間後の足首の機能の回復が早かったそうです。
腫れと痛みが落ち着いてきたら、痛みの出ない範囲で、少しずつ動かしていきましょう。
痛みが消えても、靭帯はまだ治っていない
m3.comで紹介された北里大学の研究(2025年)では、初めて足首を捻挫した101人の靭帯の安定性をエコーで追いかけたところ、I度で約2週間、II度・III度では約6週間かけて、ケガをしていない側と同じくらいまで戻っていったそうです。「1週間で復帰」という一般的なイメージより、靭帯の回復には時間がかかるということです。
テニスへの復帰は、次のような順番で少しずつ進めるのがおすすめです。
- 痛みなく普通に歩ける
- 片足立ちが、ケガをしていない側と同じくらいできる
- まっすぐ軽く走れる
- サイドステップ、ストップ、切り返しが痛くない
- 球出しや半面のラリーから始めて、試合は最後
復帰してしばらくは、サポーターかテーピングで足首を守っておくと安心です。
再発(捻挫ぐせ)を防ぐには
- サポーター(ブレース)を使う:オランダのガイドラインでも、捻挫の再発予防に効果がある方法とされています。一度捻挫した人は、しばらく試合や練習で使うのがおすすめ
- バランストレーニング:片足立ちや、片足でのスクワットなど。足首のふらつきを減らす
- シューズを見直す:コートに合ったソールで、すり減ったものは早めに交換。オムニやクレーでは滑りにくいソールを
- ウォーミングアップ:足首を回す、軽いステップ、ジャンプで、動ける状態を作ってから打ち始める
- 疲れてきたら無理をしない:足が上がらなくなった時が一番危ない
よくある質問
Q. 歩けるなら、テーピングして試合を続けてもいい?
おすすめしません。歩けても靭帯が切れていることや、骨折していることがあります。続けるほど傷が広がり、治るまでの期間も長くなります。大会でも、ひねった直後は一度プレーを止めて状態を確認してください。
Q. 冷やす?温める?
ケガの直後から最初の数日は、冷やして腫れを抑えます。腫れと熱っぽさが引いてきたら、お風呂で温めて血の巡りを良くしても大丈夫です。温めてズキズキ痛む時は、まだ早いサインです。
Q. 湿布だけ貼っておけば治る?
軽い捻挫なら自然に治ることも多いですが、湿布は痛みを和らげるだけで、靭帯を治すものではありません。冷却・圧迫・挙上をきちんと行い、受診の目安に当てはまる時は整形外科へ行ってください。
Q. 何回も捻挫しています
足首のゆるみ(足関節不安定症)が残っているかもしれません。サポーターとバランストレーニングで予防しつつ、一度スポーツ整形外科で足首の状態を診てもらうのがおすすめです。
まとめ
- 捻挫したらプレーをやめて、体重をかけない・圧迫・挙上。冷やすなら冷却スプレーではなく氷のう
- 4歩歩けない、くるぶしの後ろや足の外側の骨を押すと痛い時は骨折を疑って受診
- 1時間で大きく腫れた、3日たっても良くならない時は、靭帯が切れているかもしれない
- 湿布は痛み止め。ケトプロフェンの湿布は日光に注意
- 痛み止めは必要な時に短く
- 痛みが消えても靭帯の回復は2〜6週間。リハビリと再発予防までがセット
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参考資料
- 日経ドラッグインフォメーション「患者指導ワンポイントレッスン 捻挫の正しい応急処置法」(2015年8月号、監修:斉藤明義氏)
- 日経ドラッグインフォメーション「患者指導ワンポイントレッスン 湿布の上手な貼り方」(2013年4月号)
- 日経メディカル「【捻挫】湿布を貼って包帯で固定 ⇒ ×」(2012年2月号「特集 応急処置11の誤解」)
- 日経メディカル「捻挫後早期にリハビリを行うと関節機能の改善が早まる」(2010年5月、BMJ誌の論文紹介)
- m3.com「足首の捻挫、関節の安定化に2~6週必要な可能性」(2025年5月、QLifePro医療ニュース)
- m3.com「『Ottawa足外傷ルール』はこう使う!【エキスパート解説】」(2026年6月)
- m3.com「小児の足関節捻挫、2度以上は全例ギプス固定」(2011年2月)
- m3.com「長引くおじさん捻挫、3カ月後のCTに写っていたのは?【画像診断ヒヤリハット】」(2024年5月)
- m3.com「漢方を見直すきっかけとなったJBJS誌の1報【私の人生を変えた論文】」(2026年8月)
- m3.com「外傷、打撲傷に対する漢方薬の使い方」(2024年1月、羊土社)
- Vuurberg G, et al. Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains: update of an evidence-based clinical guideline(Br J Sports Med, 2018)
- Soft tissue injuries simply need PEACE & LOVE(BJSM Blog, 2019)
- Ottawa Ankle Rules(NHS Scotland)
※この記事は一般的な情報です。ケガの状態が心配な時や、持病のある人は、医師や薬剤師に相談してください。
それではここまで読んで頂きありがとうございました。
この記事を書いた人:じょりじょり
薬剤師。JOPに挑戦しながら、ラケットとガットを試打してレビューしています。


